矯正治療の比較
歯並びの乱れを治す治療法は、表側矯正と裏側矯正、マウスピース矯正の3つが挙げられます。ここではこの3つの特徴やメリット・デメリットについて比較します。治療選択の参考にしていただけたら幸いです。
比較表(表側矯正、裏側矯正、マウスピース矯正)
表側矯正 | 裏側矯正 | マウスピース矯正 | |
---|---|---|---|
適応範囲 | ◎広い | ◎広い | 〇やや狭い |
治療期間 | 〇標準的 | △やや長い | 〇標準的 |
治療費 | 〇標準的 | △やや高い | 〇標準的 |
見た目 | △良くない | ◎装置が見えない | 〇装置が見えにくい |
治療中のケア | 〇ややしにくい | △しにくい | ◎しやすい |
治療中の痛み | △強い | △強い | 〇比較的弱い |
表側矯正は適応範囲が広く、治療期間や治療費も標準的な治療法です。装置が目立ちやすく、治療に伴う痛みが強いという難点はありますが、現状、世界的にもスタンダードとなっている矯正法なので、比較的バランスは良いです。
裏側矯正は審美面に重きを置いた矯正法だけに、治療期間や治療費、お手入れに難点が見受けられます。マウスピース矯正は全体のバランスが良い矯正法で、大きな難点は見当たりません。
表側矯正のメリット・デメリット
メリット1:適応範囲が広い
表側矯正は、ほとんどの歯並びに適応できます。それは表側矯正が歯を3次元的に大きく動かすことが得意な矯正法だからです。そのため歯並びの乱れが大きい症例でも、表側矯正なら問題なく治せることが多いといえます。
メリット2:滑舌に影響しにくい
歯列の表側にブラケットとワイヤーを設置するため、舌の運動に影響を与えることがほとんどありません。矯正装置によって発音が不明瞭になる、滑舌が悪くなるといった発音障害が現れにくいのが表側矯正のメリットのひとつとなっています。
メリット3:矯正にかかる費用を抑えられる
表側矯正は、最も標準的な矯正法であり、治療にかかる費用もリーズナブルです。治療費が極端に高くなることはまずありません。
デメリット1:装置が目立ちやすい
表側矯正は、装置が最も目立ちやすい矯正法です。審美性の高いクリアブラケットやホワイトワイヤーなどを選択することで、審美障害を抑えることは可能です。
デメリット2:食事がしにくい
ブラケットのすき間に食べ物が詰まりやすく、硬いもので装置が外れたりするため、食事の際に不自由を感じやすいです。
デメリット3:歯磨きしにくい
表側矯正ではブラケットやワイヤーが妨げとなるため、歯磨きしにくいというデメリットも伴います。その分、虫歯や歯周病リスクも高くなります。
表側矯正がオススメの人
- 歯並びの乱れが大きい
- 抜歯が必要な歯並び
- ブラケット装置が目立っても気にならない
- 治療の痛みが強くても頑張れる
- 歯を効率よく動かしたい
- 発音障害を最小限に抑えたい
裏側矯正のメリット・デメリット
メリット1:装置が目立たない(見えない)
裏側矯正の最大のメリットは、装置が表側から見えないことです。ただし、下側だけ表側矯正にするハーフリンガルでは、装置が目立つこともあります。
メリット2:食べかすが詰まっても気にならない
裏側矯正もブラケットに食べ物が詰まりやすくはありますが、表側からは何も見えません。そのため周りの目を気にすることなく食事できます。
メリット3:虫歯や歯周病になりにくい
歯列の裏側は唾液による自浄作用が働きやすいため、食べかすや歯垢、細菌などが停滞しにくいです。その結果、虫歯や歯周病のリスクを減らせます。
デメリット1:滑舌への影響が出やすい
歯列の裏側の装置は、舌の動きを制限することがあるため、滑舌が悪くなりやすいです。
デメリット2:食事がしにくい
裏側矯正では、麺類を食べるのにとても苦労します。口腔がやや狭くなることから、そしゃくがしにくいと感じることもあるでしょう。
デメリット3:治療期間が長くなる
裏側矯正は、表側矯正よりも難易度が高く、適切な治療を行える矯正医は一部に限られます。その他の矯正法よりも治療期間が長くなることも珍しくありません。
デメリット4:費用が高くなる
裏側矯正の費用相場は、1,400,000円前後です。表側矯正の費用相場と比較すると、400,000円以上高くなります。
裏側矯正がオススメの人
- 矯正中であることを気づかれたくない
- 歯の表面をできるだけ傷つけたくない
- 矯正中に虫歯や歯周病になりたくない
- 食事の時に見た目を気にしたくない
マウスピース矯正のメリット・デメリット
メリット1:装置が目立ちにくい
透明な薄型のマウスピースを使うため、装置が目立ちにくいです。至近距離で観察しない限り、矯正中であることに気づかれません。
メリット2:お手入れしやすい
歯磨きは普段通りに行えます。マウスピースのお手入れもシンプルで、清潔な状態を維持しやすいです。
メリット3:矯正中の痛みが少ないい
マウスピース矯正は、比較的弱い力で歯を動かすため、治療に伴う痛みが少ないです。装置が歯茎やお口の粘膜を傷つけるリスクもほとんどありません。
デメリット1:適応範囲がやや狭い
マウスピース矯正は、重度の歯並びの異常にはあまり向いていません。軽度から中等度の症例に適した矯正法といえます。
デメリット2:装着時間を守る必要がある
マウスピースは1日20~22時間装着しなければなりません。マウスピースの装着を怠ると歯が動かず、治療期間が長くなります。
デメリット3:歯科医師によって治療の質が変わる
マウスピース矯正は、専門的な知識・技術を要する治療法です。経験の浅い歯科医師が担当すると、良い結果が得られない場合もあります。
マウスピース矯正がオススメの人
- 目立たない矯正装置がいい
- 矯正に伴う痛みが不安
- 歯磨きしやすい装置がいい
- 大切なイベントの時は装置を外したい
- 装置で口内炎ができるのは嫌だ
コンビネーション治療について
オリーブ歯科では、表側矯正とマウスピース矯正のコンビネーション治療にも対応しております。歯並びの大きな乱れは表側矯正で改善して、細かな調整はマウスピース矯正で行うことから、両者のメリットをバランスよく享受できます。
マウスピース矯正を希望しているけれど他院で難しいと診断された方は、ぜひ当院までご相談ください。精密に検査した上で、最善といえる方法をご提案します。